金曜日から月曜日の3日間ですけど、息子が家に帰ってました。
一つは最後の虫歯治療ともう一つが極めて重要なFAFSAの書類申請の為。 息子の大学のFAFSA申請の最終締め切りは3月1日だけど、Federal Financial Aidの財源には 限りがあり、図らずしも「早い者勝ち」になってるから。 FAFSAはそもそもはFederal Financial Aidの為のの申請書ではありますが、各州がスポンーサーであるAidを配分するためにFAFSAの申請情報を使うことがあります。また、各大学も、学校が管轄するAidを配分するためにFAFSAの申請情報を使うことがよくあります。多くの場合、大学がFinancial Aidのパッケージ(大学がその学生に対し提供するFinancial Aidの組み合わせ)を決定するのに、このFAFSAの情報を使います。つまり、FAFSAはすべてのFinancial Aidを受けるための一番の大元となる申請書であるということです。 大学側がその年いくら学費補助をするかの詳細書ですけど、これに一喜一憂します。 学費補助には、簡単に言ってしまうと、返す必要のない補助と、返す必要のある補助があります。 <返済義務のない補助> 学生に無償で支給され、返す義務のないお金のことです。一般的には、Grant(補助金)とか、Scholarship(奨学金)と呼びれます。Grantはどちらかというと、低所得者のための補助、Scholarshipは高い能力を持った学生への給付、といったニュアンスがあります。Scholarshipを受けれるかどうかの審査は毎年あり、前年度の成績が悪いと補助がカットされ、大学に通うこと自体が経済的に難しくなります。だからアメリカの学生は必死なんです。 Federal Pell Grant: 連邦政府から支給される補助金。主に、低所得者が対象。 SEOG: 連邦政府が財源だが、各大学に給付の裁量がある補助金 State Grant: 住んでいる州内の大学に通う場合に、支給される可能性のある補助金。 College Grant/Scholarship: 各大学が、自校の財源から出す補助金や奨学金 Outside Scholarship: 文字通り、私設団体が独自基準で学生を選び、提供している奨学金 <返済義務のある補助> 金利面でが優遇されているローンか、労働による負担のことを指します。 (これは返済義務のない補助でした、失礼いたしました) Federal Perkins Loans: 連邦政府が各大学を通して提供するローン。学生が卒業するまで金利がつかないので、非常に有利。 Federal Stafford Loans: 学生が、銀行等からお金を借り、連邦政府が、その借金に対し一定程度援助する制度。SubsidizedとUnsubsidizedの2種類がある。Subsidezedの場合は、学生が卒業してから6ヶ月後まで、金利がつかない。Unsubsidizedは、金利面でのメリットが大きくはないが、クレジットが悪くとも受けられるなどの利点がある。 しかし、大学費用をほとんど親が負担する日本、それが強いては少子化の原因になっている日本と較べて、 一見極めて理想的とも見れるFinancial Aidに含まれる学生ローンが今や深刻な社会問題になってます。 自己破産の適用外となる学資ローンを組まされ、金利も安いローンに借り換え不可で金利も勝手に上げられる。 ある人は、アメリカの新奴隷制度復活とも言ってます。 詳しいことは、ルポ 貧困大国アメリカ II (岩波新書)に書いてますけど、概要は。 1. 高校生になって「このまま高卒じゃ単純労働の仕事しか無いじゃん」と大学進学を決意 2. だけど親が学資を貯めてるとかありえない(アメリカ人は貯蓄しない)。学資ローン借りるか 3. 借りて無事大学進学。だけど大学の授業料が在学中に上げられていく。学資ローンの金利も勝手に上げられていく 4. 授業料安い大学に転校するか。でも大学側は転校に必要な資料を提出してくれない(転校されたらお金が入ってこなくなるから)。学資ローンを金利が安いヤツに借り替えようとするが、学資ローンに関しては法律で借り換えができない。そしてなんと、学資ローンは自己破産の適用もされない(借りたら最後、返すまでずっと借金背負わされたまま) 5. 大学卒業頃には借金まみれ。借金の多さを理由に就職できず。 6. お金が無くなって住む場所もなくなり、ホームレス生活 7. ホームレスは法律違反(一部地域)、と言うことで刑務所行き。 8. 刑務所も民営化で有料。1日10ドル取られて、生活必需品も有料。それに対して刑務所労働の賃金は超低賃金。払えるわけも無く、ますます借金膨らむ。 9. 出所した頃には刑務所時代の借金+学資ローンの借金がますます増えててまたホームレス生活 10. 3回刑務所に入ると「スリーストライク法」で自動的に終身刑。一生刑務所の中で低賃金重労働。まさに奴隷人生。 (参照は、http://web-g.org/post/795465557でした) という現代資本主義の行き過ぎた悲惨な物語というか誇張があるかもしれないけど醜い現実です。 息子が背負う将来の地獄図を少しでも和らげる為に、今から少しづつでも貯金しておきましょう。 大学全費用のうち各家庭が負担することを求められる予想額です。たとえば、大学費用が$30,000で、あなたのEFCが$14,000であれば、あなたは$14,000を負担することを求められると同時に、残りの$16,000はファイナンシャル・ニーズと認められ、グラント、学生ローン、ワーク・スタディー、その他のエイドの組み合わせで満たされるべきニーズであるということになります。 そして、ファイナンシャル・エイドを多くもらう - EFCの最小化にする要素とは何かの記事がありました。 子供が同時に二人大学に通い始めたら、EFCが半分になる。一見、どの家庭でも負担が半分になるような錯覚を覚えます。しかし、EFCというのは、大学の学費(授業料、寮費、食費など)のうち、EFCの額を除いた経費を大学側が100%補助した時の家庭の最低負担額です。しかし、次のケース ■ 大学側の財源が乏しい ■ 学生の成績が余り振るわない ■ 大学にも好みの学生タイプがあります。 理工系が好き、アート系が好き、真面目な学生が好き、成績が最初は振るわなくても後で頑張る子が好き、とか大学側の好みによって学生への補助金が左右されます。 などのよって、ファイナンシャル・エイドのパッケージ額が100%より下回る場合があります。そんな時は、家庭の負担額は当然EFCを超えるようになります。ただ、上手く大学を選べば、多くの子供を同時に大学に送ったほうが家庭の負担が減る?という不思議な現象が起こります。子供の多い家庭ほどメリットが多く得ることができるアメリカ社会のなせる業です。
by nhajime3
| 2012-02-19 12:50
| 教育
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