笑うに笑えない歯医者さんの物語です。
長年通っていた馴染みの歯医者さんが何故かしら去年の夏から休業するようになりました。 多分、何かの交通事故に巻き込まれたかも知れません。 医療機器はそんなにハイテックではないし、もう嫌になるというほど治療を薦める歯医者さんが多い中で、余り熱心には薦めないけど人情的で好きな歯医者さんでした、否、まだ過去形はいけないですね。 マサチューセッツ州に移ってきた頃、息子の歯の診察にある近くの子供向け歯医者にいきました。多分、まだ、息子が8歳か9歳頃だったのではと思います。でも、どうしても口を開けない息子にDental Assistantが業を煮やしたのか、“子供をリラックスさせるための笑気ガス?を使いますか?”と聞いてきました。それは幾らなんですかと聞いたら、一回に付き数千いや数百ドルと言われて、子供の口の代わりに私の口が開きました。子供専用の歯医者なのに、子供一人満足にリラックスできないのか?と不満に思いましたけど。そして、ようやくあちこちの歯医者さんを廻り廻って、やっと出合ったのが今の歯医者さんです。早く、再開しておくれ! 息子の為に奥さんが見つけてきたの歯医者さんの名前は、『Small Smiles』。初めて知りました。窓ガラスにお馬さんのデッサンは描かれ、内部には子供向けプレーグランドがある如何にも子供向け歯医者さんのようでした。 アメリカの歯の治療費は嫌になるほどはべらぼうに高い。今は他の会社に転職したけど、あるスパニッシュ系アメリカ人の従業員、アメリカで治療を受けると膨大なお金が掛かるからといって、国境を越えてメキシコまで飛んで治療を受けてきました。避難先にあるメキシコ人、カナダ人は幸いです。日本人もわざわざ日本まで飛んでいって治療を受けるという強兵もいます。飛行機代を払ってもまだお釣りがくるくらいだから。アメリカで保険に入って治療するより、無保険で日本で治療するほうが安いとまで言われてます。保険が保険としての意味をなさないです。ここの施設は低所得者用ならびに州政府の特別サポートが使えるヤングアダルト用の歯医者さんでした。 診察待ち時間の間、ネットでこの『Small Smile』とは何者ぞと調べてみたら、全米22州で展開する巨大デンタル.チェーンでした。連邦政府特別ヘルスケアプログラムを財源として、特に低所得者あるいは子供向け歯科医療サービスを提供してました。その会社の性格上優遇、患者には低料金でしか医療請求せず、懸かった費用の大部分は連邦政府あるいは州政府の方に請求するシステムでした。 ただ去年、医療不正請求の嫌疑が発覚し、アメリカ司法省の視察を受けペナルティーを受けていました。そしてDepartment of Health and Human Services(保健社会福祉省)の5年間に渡って観察を受ける業務管轄化に置かれていました。その親会社が、テネシー州に本部を持つChurch Street Health Management という医療保険会社でした。 最近、サービス向上ということで、二つの新しいサービスを始めたそうです。 ①braces(歯列矯正)のサービス。 ②Young Adult向けサービス。 よく内容が分からないけど20歳までという年齢制限があるみたいです。 背後に膨大なカルテが並んでいて吃驚した受付。 付き添えの親は診察室には入れない会社の規則。 診察室に入った息子の話では、大きな部屋に6人から10人の患者が集中治療? アメリカの診療はアポイント制が原則になってるけど、次から次へと大量の患者が。 このSmall Smilesというデンタル.チェーンが問題になった点は、主に二つの事柄。 1. 子供は元来歯医者が嫌いで、どうしても治療をしなければならないなら、どうしても治療したいならビデオに映るような強制手段に頼らざるを得なくなるけど、問題はその時に埋め込まれた恐怖心がトラウマとなって精神的な障害が残ること。でも、どうして笑気ガスを使わなかったのだろうという疑問が? 2. そして、もう一つが過度の不必要な治療を患者に施して連邦政府や州政府に不正請求したこと。 連邦政府が問題視した不必要な過剰診療項目は ① 抜歯 ② X-Ray ③ 麻酔(全身麻酔薬を含む) ④ Root Canal Therapy(子供に対する歯根神経治療) これらの不正診療要求に対して$24Millionの罰金刑を食らいましたけど、依然として各地で平然として営業してるスタイルに公然とマスコミやYouTubeなどから盛んに非難中傷されてます。噂を知ってか知らずにしても、患者が沢山来るというのは必要とされてるからでしょう。他に代案があるのかい?という私も来週の週末に息子の虫歯治療のアポイントメントがあって、大丈夫かなという不安が抜けません。 本当に世も末です。連邦政府の低所得者用のデンタル.プログラムを悪用して私腹を肥やす者、最新のハイテック機器を導入して患者をビジュアルに納得させて過度の治療に勤しむ者、拝金主義の悪弊に侵されて、医は仁術という言葉は資本主義の時代では遠く過去のものになったんかいな!!!(怒)
by nhajime3
| 2012-01-06 02:08
| 医療. 健康
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