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EMV化という黒船到来

昨日、日本からCitiCardでお買い物しようとしたら決済の最後の段階でエラーが表示されました。以前は問題なく使えたんですけど、最近は不正使用に関してオンライン.モニタリングが厳しくなってるみたいです。朝一番にCitiBankから不正使用の疑いがあるから至急電話してくださいとメッセージが入ってました。電話してみたら、確かに、イギリスのサイトに3ドルほど使途不明な金額が請求されていました。でも多分それは不正請求ではないと思うのですが、念の為ということで、あっさりと今のカードはキャンセルされて、翌朝にはもうなんと新しいカードが届いてました。

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EMV Chip Card Technology(ICチップ付きカードです、アメリカでは珍しいです)

EMVはEuropay、MasterCard、Visaの頭文字をとったものです。これらの団体は、EMVチップとPINカードの支払い(EMV chip and PIN card payment)の仕様書をまとめた世界基準の企業連合です。現在では Visa, MasterCard, American Express(2009年加盟),JCB(2004年加盟),そして昨年加入したChina UnionPay(中国銀行)の5つの連合体から組織されてます。


EMV Chipという初めて聞くような言葉だったので、ネットで調べてみたら、EMV Chipにも、接触型と非接触型の二種類があるみたいですが、このCiti Bankのカードはカードリーダーに差し込む接触型タイプのカードみたいです。

Chase Blinkカード(Contactless Payment、非接触型支払い)
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世界ではありふれたICカードでも、アメリカは長い間ICカードの導入を拒んでいました。既存の磁気式スワイプの決済システムをICカード化するのにお金が掛かるから。その背後に何も今の安定したシステムを壊してまでして、そこまでする必要性を感じなかった為。

ICチップ技術の活用に関してはアメリカは未開発国の呼ばれてますが、実はChaseはもう9年前に、Blinkプログラムという非接触型支払いのマスターカードを発行してました。ただ全然普及しなかったです。カードが使える加盟店の数が全米の8%、実際の決済に使われた割合は全体の0.5%という悲惨な状況でした。既存の磁気カードスライド式からの高価な非接触型のカードリーダーに投資したがらなかったのが大きな原因でした。それも原因となって、ChaseもこのBlinkプログラムを撤廃しました。私もカードを貰ったときは何処でつかえるかななとウキウキでしたけど、実際には近所に使えるお店がなくて、結局はカードそのものも暫く永眠する羽目になりました。



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Forbes "Why Even North Korea Outpaces The U.S. In Credit Card Security"

世界で最大のカード取引があるといわれるアメリカは、「磁気カードでも十分に対策が可能」と主張するクレジットカードの発行元が多く、EMV推進派のVisaやMasterCardと対立していました。アメリカNo,1の国だから、世界基準には従わない。でも、その高慢ちきな対決姿勢にも流石に変化が訪れるみたいです。2015年10月以降、詐欺行為の損害賠償の有責義務の所在が変わる。お客がEMV付チップカードで決済する時は、お店側に専用リーダーが備えられていなくてはならない。もしなくて、従来通りの磁気式スワイプした後に詐欺行為が発覚した場合、今まではクレジットカードの発行元が損害を甘受していましたが、来年からはお店の方が全面的に損害を引き受ける羽目になります。これがお店サイドでEMV化を進めるにあたっての大きな外圧になってます。


EMVの利用形式
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EMVの目的は、偽造防止などの「セキュリティ」にあります。しかしEMV化は磁気カードを接触型、あるいは非接触型ICカードに更新するだけにとどまらず、加盟店の決済端末の置き換え、カード発行システムの更新、オーソリティー(カード利用承認)システムや売上処理の更新、など決済カードに関連する業務システムの広範囲に及び、設備投資もばかにならないようです。アメリカがEMV化に移行するには$8.65 billion の設備投資が必要というある試算が出ていました。


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ただ、ほとんどのEMVカードは接触式タイプになるだろうと言われてます。
接触式カードリーダーの方が非接触式カードリーダーよりも遥かに安いから普及しやすいという目論見。
そのICカードリーダーにも通信方式が違うので、全部で三種類あるみたいですが互換性があります。


接触型ICカードリーダー
EMV化という黒船到来_b0188828_0284931.jpg接触型ICカードにみ使用可能

非接触型ICカードリーダー
EMV化という黒船到来_b0188828_0285394.jpg非接触型ICカードにみ使用可能

共用型ICカードリーダー
接触型ICカードと非接触型ICカードの両方が使用可能
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こう見ると大手の販売店は将来を見越して共用型ICカードリーダーに投資をするかもしれないけど、個人のような小さなお店は接触型ICカードリーダーに固持するかもしれないです。そうすると、全体的にNFC技術は進まないかもしれない。それを見越して、AppleがiPhoneにNFCチップを載せるかわりに、iBeaconというBLE技術を利用した新しい決済方式に期待してるのかもしれないです。
by nhajime3 | 2014-07-28 15:22 | 金融
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